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2011年12月25日星期日

西域腎寶 最高神官

やがて、 入り口の扉が開かれた。
銀色の背の高い影が入ってきたかと思うと、 入り口近くの仕え人から灯りを受け取った。
そのとたん、 銀色の光は消えて、 蝋燭の光の中、 銀色の髪が反射して輝いた。
最高神官は結界を外したらしい。 その行為は、 身に付けていたものの一番上のものを脱いだといえるだろう。
エリザは、 動けないままにその様子を見ていた。 動かせるのは目と唇だけだった。
最高神官の瞳は、 他の仕え人たちと同じように、 自分を見つめている。
ムテらしい銀色の目だ。 金威龍 冷たい魔を持った目だ。
もう逃げることは出来ない。 エリザは思わず目をぎゅっとつぶった。

長い時間がたったような気がする。
と、 思ったとたんに何者かが頬に触れた。
思わずエリザはびくっとしたが、 けして目を開けることはしなかった。 一瞬、 我慢すればいいのだ。 一瞬だ……。
目の前が明るくなった。 最高神官は、 灯りをかざしてエリザを見ているようだった。
いったいどうしたのです?怪我をしているではないですか?
ムテの神官らしいこもったような滑らかな発音だ。 エリザはそっと目を開けた。
先ほどの捕り物で、 仕え人の爪がエリザの頬を傷つけていたのだ。
仕え人たちが少しだけざわついた。
きれいにふき取られたとはいえ、 時間がたった。 頬にかすかに血がにじんでいるのを、 最高神官は見逃さなかったらしい。
彼は灯りを床に置いた。
ちらりちらりと燃える蝋燭。 その灯りはやわらかい。
エリザはぼうっとその光を見つめていた。 神官が自分を見つめているのがわかる。
氷のような冷たい目を、 エリザは見たくはなかった。 片手がエリザの肩を抱いたが、 目線をあわせないようにして、 エリザは唇をかすかに動かした。
一瞬で……すむ……。
エリザの視線の隅に白い指先がちらついた。 蝋燭に照れされ弧を描くようにふられた指に、 エリザの意識が重なった。
とたんに体が自由になった。
エリザに掛かっていた暗示がとけたのだった。
エリザはあわてて肩に掛かった神官の手を払うと、 はじかれたように後ずさりした。 立ち上がれなかったのは、 暗示のせいではなく、 腰が立たなかったせいである。
奥の仕え人がエリザを取り押さえようとして立ち上がるのを、 最高神官は手で合図して止めさせた。 イリュウ
一瞬静寂が流れた。
最高神官サリサ・メルは、 再び灯りを手にとると立ち上がった。
蝋燭の灯りがエリザの上に影を落とし、 西域腎寶 最高神官をますます長身に感じさせた。
彼は、 すべての状況を把握したのだ。
周りに、 再び銀の結界がまとわりつき、 あたりは銀色に輝いた。 サイイキジンホウ
今夜はここまでですね
そういうと彼は入ってきたほうに向かって歩き出した。

2011年12月18日星期日

西域腎寶 と納得した

チヨが気を揉む理由は、 安西との結婚話があって、 敬一が家を出て行ったあのときまで、 柳子が敬一の部
屋で寝ていたのを知っていたからだった。そして安西のところに忍んで行って寝ているのを知らなかったの
だから。
だから柳子が、 ロンドリーナにきてすぐ妊娠していることを告げたとき、 チヨは柳子の胎の子を(敬一の
子)だろうと思ったので、 安西浩一との夫婦関係が破綻することを懼れたのだ。
まるでそのことを立証するかのように、 柳子がここにきてから処女のままだなどと言うのだから、 チ
ヨの心配はさらに大きくなった。
それに反して龍一は、 なあに心配することはないさ、 とのんきに構えていた。
龍一は、 柳子が敬一と実質的な夫婦だったことも知らなかったし、 むしろ世間的詮索の卑猥な常識として、
編集長と秘書という位置関係を考えていたから、 安西とのあいだで、 すでに肉体的に夫婦関係が成立してい
たのではないだろうか、 だから安西が正式に結婚を申し込んできたのだろう、 と思っていたから、 金威龍 そのうち
柳子の胎が膨らんでくるだろう、 と思っていた龍一は、 柳子の妊娠をチヨから聴いて、 やっとふたりが正常
な夫婦になってくれたのだ、 と笑った。
それから間もなく、 浩一が、 龍一に向かって、
お義父さんの初孫が産まれます
と顔を染めて告げたから、 柳子からチヨに、 チヨから龍一にすでに聴いて知っていたけれど、 初めて知っ
たような顔をして、
ほう、 そうですか。いやいやそれはおめでたいことでした
と浩一の手を硬く握った。
傍にいたチヨも、 そこで安心できた。
安西は、 柳子と敬一との関係を疑ったことはあったが、 内藤の家に同居するようになってからも、 夜にこっ
そり柳子が忍んできて、 セックスしていたから、 まさか柳子が二人の男のあいだを掛け持ちしていたなどと イリュウ
は想像もできなかったのだ。
まだサンパウロ市で抱き合っているうちに妊娠していたんだなあ、 西域腎寶 と納得しただけで、 敬一との関係を疑う
ことなど、 想像することもなかった。
チヨは、 複雑な気持ちだった。彼女は嘘のない女だったし、 嘘をつくことを罪悪だと思ってきたから、 安西
が龍次をわたしらふたりのあいだにできた子だと信じているようだし、 柳子の胎の子を疑いもなく自分の子
だと信じているらしいから、 こんなに柳子の嘘がすんなりと受け入れらることに、 心が震えた。いつかはど サイイキジンホウ
こかから嘘が尻尾を出すのではないだろうか、 と。