2011年11月22日星期二

抗菌薬 と苦しいときの神頼みで

それでも柳子は物好きに、 歯を磨きながら、 ずっと顏を上に向けていたから、 自身の寝巻がべったり肌にはりついて、 小さいながらも膨らみのある乳房が、 透けて見えるのには気づかなかった。
ああ、 と柳子が吐いた嘆息が、 暗がりのなかに滲んでゆく。
「柳子姉ちゃん、 お早ようさん」
背中に息がかかるほどの距離で、 春雄の声がしたから、
「きゃっ」
と叫んで、 柳子が飛び上がる。
挨拶した春雄のほうが、 びっくりして仰け反る。
「ばかっ。びっくりするじゃないの」
「ぼくのほうがびっくりしたよ。柳子姉ちゃんが、 あんまりびっくりしすぎたさかい」
「どこに隠れてたのよぉ」
柳子は、 てっきり春雄がいたずらに、 こちらを驚ろかすために隠れていたのだと思った。
「隠れてなんかいてへんで。姉ちゃんよりさきに、 ここにきてたんやけど、 姉ちゃんがあんまり気持ちよさそうに空向いてるさかい、 声かけるのん悪い思うて」
春雄は、 先に来ていたのだが、 柳子が出てくるのが視えたから、 井戸の向こう側に隠れていて、 脅かすつもりだったのだが、 暗がりでも、 そっと覗くと、 寝巻を透かして顕わになっている柳子の乳房が気になって、 視線のやり場に困っていたのだ。
春雄の視線を、 まったく柳子は感じていなかったから、
「あったかい雨って気持ちいいわねぇ」
と言いながら、 両手をいっぱいに広げて伸びをする。
薄暗がりのなかでも、 -肥満治療 柳子の乳房がいっそう盛り上がるのが、 透けて視えた。
「うん、 ええ気持ちや」
雨よりも、 柳子の乳房が顕わに見えるのを、 視線をちらちらさせて見るほうが、 春雄にはもっと気持ちのいいことだった。
柳子が目醒めて、 性感染症 雨だという隣の声を聴いたときには、 なんとなくそういう気配だなあと思った程度の、 しめやかな降りようだったが、 勝手口を出て外を窺ったときには、 もうまちがいなく大粒の雨になって、 粗雑な感じでばらばらと降っていた。その粗雑さが井戸端で歯を磨いているうちに、 徐々に密度を増して、 春雄が声をかけたときには、 ばらばらでもなく、 ぼとぼとでもなく、 ざあざあと降るようになっていた。
どんなに激しい雨でもいい、 と思う。雨が降るのをこんなにうれしいと思ったことはかつてなかった。
雨は心地よく降りつづける。雨の音だけが間断なく農場を支配する。それを前奏曲にして、 暁の幕が徐々に引き上げられてゆく。
雨が南半球の夜明けを遅らせることはあっても、 決して閉ざしてしまうことはなかった。
薄暗がりの遥かな彼方で、 もぞもぞと透かし見るようにしたあと、 そっと曙が覗き見てから、 夜の幔幕の裾を引き上げ、 いったん幕を揚げかかると、 もう我慢仕切れなくなった朝は、 急速に萌葱色の光を雨に滲ませながら横へ引いてゆき、 ここが大地と空との境目だよといいたげに、 押し広げてくる。
ここで雨が降っていても、 陽が昇るところは晴れているのだ。陽光は濡れていないし、 黒かった雨粒を真珠色に耀かせはじめる。
雨は、 すぐに上がりそうにはなかった。この大地のどのくらいの範囲が雨雲に覆われているのかしらないが、 大平原の一部だけだろうと思わせるのは、 この辺りに降っている雨の向こう側に太陽が昇ってきて、 鈍いながらも陽光の輝度を増してきているのがわかるから、 すこし離れたところは晴れていて、 炎のような太陽熱を降り注いでいるのにちがいなかった。
いつだったか、 遥かな地平の彼方で演じられていた、 そういう天候の違いを、 広い視界のなかを一駒一駒区割りにした絵のように眺めたことがあったから、 いまもそうだろうと想像する。
雨が降っているのはこの辺りだけで、 だんだん移動して行って、 つぎには丘の向こう側が降り、 こちら側は晴れてくるのかもしれなかったが、 どうぞいつまでも、 ここで降りつづいてくださいますように、 抗菌薬 と苦しいときの神頼みで、 手を合わせる気持ちになる。
雨が降っているとわかったときすぐ、 春雄くんが、 「今日は仕事休みやな」と儚い望みを吐き出したように、 性感染症 ほんとうに農作業が休みになってくれたら、 と柳子も拝む気持ちになっていたのだ。

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