2011年11月22日星期二

アメリカOptimRxペニス増大カプセル同じ移民船に乗っ

 アメリカOptimRxペニス増大カプセル同じ移民船に乗ってきた人たちは、苛酷な労働を覚悟したコーヒー農場の契約労働者だったが、柳子の場合、喜望峰を回り込むまでは、父の龍一が片岡製糸会社から派遣された養蚕技術員として特別待遇される環境のなかにいたのだから。
しかし、それ以外のことは柳子にも、雲をつかむようなもので皆目わからない。なんでも知りたがり屋の柳子だから、東京の叔父の家から長野に連れ帰られるときにすでに、ブラジルとはどういう国か。ブラジルで住カベルタ(CAVERTA)む家はどういう家か。どういう程度の生活ができるのか。わたしは何をするのか。などと、うるさく訊ねたけれど、それに明確な回答のできる セックスドロップ·ドイツ小情人 龍一ではなかったのだ。
生来暢気者の龍一とはいえ、あまりにも成り行き任せなのに、妻のチヨだけではなく、未成年者の柳子も呆れたほどだった。
片岡製糸が養蚕指導員としてブラジルへゆくものを募集しているのを耳にして、その条件がどうのとか、さきへ行っセミナックス(Semenax)てからの生活のことなどいっさい会社任せで、とにかくブラジルにさえ行けたらいいという状況を鵜呑みにしてきたというのだから、呆れるのが当然だった。
柳子とチヨは、そう言って肯きあったのだが、いくらのんきものだといっても、こどもではない一人前の男が、さあどうだろう、と惚けるのには裏がなくてはならない。
龍一が慌しい旅立ちをしてきたもっともな理由は、身から出た錆で腐りかけていた身辺を、なんとか一新しなければどうにもならないところに追い詰められていたので、片岡製糸の派遣社員になったのは隠れ蓑なのだから、チヨと柳子がいい面の皮、迷惑を蒙った被害者だったというべきなのだ。 

窓外の景色がもやってくる。濃い朝霧がでたのだろう。水をたっぷり含んだ水彩画を見るように視野が滲んでくると、徐々に柳子は夢幻の世界に引き込まれてゆく。
西へ、西へ、ただひたすらに西へ向かって波涛のうえを流されてきて、その流れのままにいまもなお西へ向かって際限もなく移動している自分自身の姿が見える。いったいどの辺りをさまよっているのか見当もつかなくなっている。なんとかしてここから引き返さなければ、取り返しのつかない未来へ踏み込んでしまう危惧が心に湧いているのに、思うようにはならない。虚しくあがくばかりで。
同じ夢をいつか見たように思う。意思はあるのに、みずからの意思を無視されている腹立たしさが募るばかりで、こんな惨めな思いをするのはいやだと、がむしゃらに手足を動かす。どんなに渾身の力で泳いでも、泳いでいるところが空中だからどうにもならないのがわかっていながら、泳いでいる。
そんな夢のつづきのような風景が、徐々に明るんできながら、ゆっくり後ろへ流されてゆくのを眺めて、柳子は惟う。ああ、これは一つの詩だ、と。
女学生のときからハイネや藤村の詩を真似て詩作してきた柳子には、詩心があったから、感性の高い柳子が、風景を眺めながら詩を感じるのも当然だった。
生まれ育った環境が、安曇野という詩的な揺籃のなかだったから、日本の山河に抒情をくすぐられ、自然に得た詩心だった。
山の彼方の空遠くへ行かなくても、山のこちら側にも詩はあると思ったように、ブラジルにも詩はあった。どこにだって詩はあるのだ。詩というものは、べつにあらたまって身構えなくても、自然のなかにおのずから存在するものなのだと、いまさらのようにわかって、ほのかな安心を覚える。
東京には灰色の都会の詩があったし、長野には緑濃い山の詩があった。
そして、日本には密度の濃い詩がただよい。ブラジルには茫漠とした詩がかすんでいる。
日本アルプスの屏風を背にした安曇野の清麗な風と光と水のなかで生まれ育った内藤柳子の、清純で繊細な十七歳の、青春の感性にのみ訴えてくるものだろうか。そうは思えない。自然におのずからある詩的なものが見える人と見えない人がいるだけだろう。
そうだ、と柳子はひとつのことを心に決める。日本のように密度の濃い、やさしい詩でなくてもいい。ブラジルの荒々しく殺伐とした詩であってもいい。わたしは、わたしのこれからの人生のなかに、ブラジルの詩を拾い集めよう。それを、わたしがブラジルにきた目的にしよう、と。

すっかり明るくなった風景のなかで、心に明るくそう思えるようになったのは、ずいぶん慌ただしかった旅立ちで、ささくれだっていた気持ちに、いくぶんゆとりができていたからだろう。
そういえば、ほんとうに、廻転速度の速い木馬に乗ってしまって、あれよあれよとなにか大きな流れに流されてきたようだったと想いだす。
父の一方的で強引な行動にあのとき反抗していたら、どうなっていただろうか。急廻転の木馬から飛び降りたわたしが怪我していただろうか。父か叔父かどちらかが大怪我をしていただろうか。とあのときの険悪になった二人のなかを想いだすと、いまでも心が震えるのを覚える柳子だった。
柳子が小学校から女学校まで、肉体的にも精神的にももっとも成長して、人間形成の基礎を築く年令を世話になっていた東京の、龍一の末弟になる良三が、
「そんなところへ、柳ちゃんを連れてゆくのは、俺は反対だなあ。酷だよ。酷すぎるよ」
と激しく言い、
「柳子は儂の娘だぞ。娘の進退を決定するのは父親の儂だ」
と嵩にかかって言い募った龍一とが、あわや掴み合いの大喧嘩に発展しそうなところまでいったのだから。

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