シアリス Cialis 20mg*30錠 移民の引取り人というのか、女衒のようにも思える引率者の、熊野球磨吉が、こんな汽車ば、マリア・フマッサちゅうとたいと教えた、薪を焚いて走る機関車が、煙突から吐き出す赤い火の粉は、まだ明けやらぬ薄暗がりのなかを透明な蛍火になって乱れ飛ぶ。もつれたり離れたり、ゆるゆると舞ったり、急いで点線になって連なったり、途切れたり、群れたり、さまざまな姿になって、暁闇のなかを飛塩酸ミノサイクリンぶ火の粉は、まるで十七歳なかばになる内藤柳子の心の反映であるかのように乱れ飛ぶ。
車窓のガラスの向こう側に、もうひとりの柳子がいて、無表情に車内の柳子を観ているのだが、それが走る列車と同じ速度でついてきて、同じ表情をしているので、嫌だなあ、とこちら側の柳子を苛々させ 巨人倍増 シアリス Cialis 100mg る。
痩せて細面なのに、朝鮮民族の血を濃く引いているからだろう、眉の薄い、つるっとした顔の、少し顎が角張っている容貌が、断髪にしているせいもあって、柳子を少年のように見せていた。
それは柳子が意識して、男物の白シャツを着て、黒ズボンを履いて、男装しているからだったから、窓ガラスの向こう側にいるもうひとりの柳子が少年っぽく視えることに、違和感を覚えないばかりか、いい調子じゃないのとナルシシズムを納得させていた。
みずからの容姿には納得できても、いまだに納得できないことがあった。
移民船が神戸を出港してから六十二日の航海で、ようやく運ばれてきて、ブラジルのサントスという港に着いて、もう百年以上も前に、ドイツ移民が歩いて登ったという海岸山脈を、それから五十年後のイタリア移民のときにはマリア・フマッサに乗って登ったという道順で、移民収容所に入り、しばらくそこに居て、それぞれの入耕地が決められ、そしていま特別仕立ての移民列車の乗客になり、海岸山脈の上の、標高七百メートル以上に在る高原都市サンパウロ市から、奥地のコーヒー農園に入植するべく運ばれているのだが、標高がどんどん下がってくるに連れ、感情が上昇してきて、不満の度合いが沸点に達していた。
その不満の対象である父は、窓に肩肘かけて、眠っているのか、眼を瞑っているだけなのかわからなかったが、面長で、色白で、鼻筋の通った端整な顔立ちで、神戸の移民収容所に集合したときから、ほかの人たちが一歩さがってものを言うほど耀いていたけれど、いまは、同一人物かと疑うほど、くすんだ顔色になっていた。
この父が、眼を吊り上げて、叔父と口論したときの情景を、内藤柳子はまた想い出して、深い溜息を吐いてしまう。
長野にいるはずの父が、予告もなくとつぜん東京の叔父の家にきて、柳子自身の思惑や意思を無視して、
「ブラジルへ行くことになったからな、長野にけえってきて、その準備をするように」
と藪から棒に言い渡したのだ。
それが、もうすぐ女学校を卒業する寸前という時期だったから、柳子は唖然とさせられたあと、その理不尽さに腹を立てて、父に突っかかっていったのだが、
「儂の意思じゃねえ、お上のご都合だ」
と父が言ったから、抗議の矛先を軽く往なされて、蹈鞴を踏んでしまったのだった。
いくらお上のご意向だからといっても、小学校に上がるときから、もうすぐ女学校を卒業するという十年ほどの年月を過ごした東京なのだ。はい、そうですか。とあっさり従順になれるはずはない。
そのあいだ両親の代わりをしてくれた叔父の家から、むりやり剥ぎ取られることに、柳子が易々と気持ちの入れ替えができるものか、と長いあいだ文句を言いつづけたのも無理からぬことだった。
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