2011年12月4日星期日

男露888 夫婦のあいだに流れる情愛

「ほんまほんま、 そやさかい金残りますねんやろ」
「そのうちに銀行つくって、 男根増長素 おじさんに無利子で貸してあげるから」
「へえ、 おおきに。そやけどそんなことしとったら、 銀行破産しまっせ」
ふざけることの嫌いなチヨまで、 柳子と茂の遣り取りを聴いていて、 顔をほころばせている。
「わたし、 経理学校に行ってなかったから、 お金の計算は苦手なの」
「柳ちゃんはお金の計算なんかでけんかてよろしおますがな、 お父ちゃんの甘い脛齧っとったら」
「ちょっとおかしいでえ」
春雄が割り込む。
「どこがおかしいねんな。柳ちゃんのお父ちゃんの脛が笑うてるいうのんかあ」
「違うよ。お父ちゃん、 ぼくに、 お金の計算でけたらそれでよろします。ほかの勉強は世渡りの邪魔になるだけでっせ、 男性活力素 言うたやんけ」
「あほ、 こんなとこで、 家うちのことばらしてしもたらあきまへんがな」
小森親子の絶妙な遣り取りに、 みんなが一斉に笑って、 小屋が揺れるほどだった。
「うちのひとは、 八年も学校に行きはりましても、 このくらいでっさかいな」
タツの言い方は軽妙とは言い難く、 ねっちりした嫌みに聴こえる。
それでも、 このぬくぬくとした雰囲気のなかでは、 みんなの笑い声を凍らせるほどのことにはならなかった。
タツを嫌いな龍一も、 今日は引っかかることもなく聴き流せた。
「にぎやかに笑ってお別れできるのは、 なによりのご馳走です」
龍一のほうが、 みんなの心をしんみりさせることを言う。
「わてらのこと、 あほな夫婦や思うてなはるやろけど、 あほなこと言うて過ごさんと、 世の中きつうおまっさかいなあ」
茂がちょっとしんみりした雰囲気に合う言い方で言うのも、 それほど辛そうではないのが、 かえって実感があった。
ほんとうに辛い思いをしているのは、 秋子ひとりなのだけれど、 そこは擦り抜けて触らないように、 誰もが気を遣っているのだ。
秋子も、 家族のために犠牲になっていることなどないような顔をして、 みんなといっしょに笑っていたから、 ああいうことは、 それほど心に蟠らないことなんだろうかなあ、 と柳子は思う。
まだ経験のない柳子には、 男女が肉体を結合しても、 心まで結びつくものではなく、 肉体も心もその場限りの快楽を味わうだけなのだ、 ということはわからな かったし、 一度肉体を結びつけると、 結婚していなくても夫婦と同じ程度の情愛に縛られて、 一生拘らなければならないのではないのかという精神主義のほうを 勁く感じるから、 男露888 夫婦のあいだに流れる情愛が水や空気のように日常的なものなのだという考えではなく、 ごってりとした接着剤で結合されるものだろうと思っ ていたから、 いままったく熊野の臭いを感じさせない秋子の様子が、 ふしぎに視えた。
秋子の父親も母親も妹も弟も、 みんなが秋子の悲しみを無視して、 楽しそうに笑っているのが、 ほんとうの姿だとは思えないのだけれど、 嘘の世界のなかで、 ほんとうを塗り込めてしまえるのだったら、 それもひとつの生き方なのかもしれないではないか、 と柳子は思うことにする。
そう思わなければ、 頭のなかが混乱するばかりなのだ。世の中も、 男女の関係も、 複雑すぎて、 維高 縺れた糸を解すよりもいっそう困難なのだから。
父と母のように愛し合って結婚したのではないのにセックスするし、 愛し合っていても夫婦になれない人もいるし、 憎しみ合いながら別れずに暮らしている夫婦もいるし。
茂おじさんみたいに、 アホにならんと人生やっていけまへん、 というのがほんとうの生き方だとすれば、 ちょっと哀しすぎて暗すぎると思うのだけれど。
「いやいや、 あほだなぞとは滅相もありません。あなた方ご夫妻ほど、 人生を悟って、 ざっくばらんにおどけて暮らせたら、 どんな辛いこともそれほど辛いこと には感じなくなるでしょうから、 儂らもそうできたらと、 羨ましくなりますよ。この一年、 あなた方のお陰で、 どれほど気が紛れたかしれません」
全部が全部言葉通りだとは思えないが、 たしかに羨ましいほど陽気で楽天的な家族だ、 と龍一が思っていたのは、 ほんとうだった。龍一自身、 阿呆な過去を性懲りもなくつづけてきていたのだし、 その周辺にいた誰彼も悧巧に見えるものなどひとりもいなかったのだから。
人間ひとり一人が、 みずからのアホさ加減を認識し得たら、 この世の中のいざこざはなくなるだろう。
そう思う一方で、 阿呆なものほどみずからを正義だと思い、 他人を不正義だと惟うから、 衝突するのだ、 と矛盾を気づかずに思ったあと、 また訂正する。

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