川俣に断乎として宣言してしまった手前、 柳子を秘書として横に坐らせなくてはならなくなったことに、 みずから戸惑いを覚えながら、 内心の華やかさに、 ともすれば浮かびでる照れ臭さを、 隠そうとして隠し切れないのが、 椅子を音させて立ち上がったことに顕わになる。
なんだこれは、 初対面の女性が落ち着いているのに、 こちらが揚がっているとは、 といっそう安西は照れてしまう。
机を回って編集長室を出てゆく安西の後ろから、 柳子もついて出る。
「ああ、 保田くん、 三木くん、 そちらの渡辺くんと諸橋くんもこちらにきてくれないか」
安西が編集部員を集める。
仕事を中断されて、 不服そうな顔をするものはいなかった。
先ほど大法螺吹きの千田に連れられて入ってきた、 どうも新入社員らしい新鮮さを感じさせる中性的人物を評して、 声を殺して言い争っていたのだ。
上半身が扁平で青年に視え、 下半身が丸くて女性に視え、 つるっとした皮膚と、 角張った顔貌。男装の麗人か、 御釜的男性か。痩せて小柄で火星人のような人物の性別を、 間違ったものが「うどん」を奢るという賭けまでして。
「ええ、 みんな、 気を休めて聴いてくれ」
安西の、 「気を休めて」は「手を休めて」ではないのか。なんだか編集長のいつもの糞まじめさが浮わついているようだなあ、 と想いながら、 「あれは女性だ。腰の回りが男性じゃないよ」と言い張った渡辺が、 編集長の変な前置きから、 みずからの勝利をすでに察していた。
ほかの編集部員も、 いつもとは違う雰囲気に顔を見合わせる。
その雰囲気に、 安西への信頼が崩れそうな不安が視えた。
「この人は、 今日からぼくの秘書として働いてもらうことになった内藤柳子さんだ。編集の仕事もひと通り覚えてもらうから、 各自が受け持っている仕事を、 あらまし教えてやってくれたまえ」
安西は、 柳子を紹介したあと、 編集部員ひとりひとりの名と、 なぜだか保田と三木が既婚者で、 渡辺と諸橋が独身者であることを明らかにする。それは柳子が女性であることをいっそう意識してのように、 柳子にはもちろん、 編集部員にも、 聴こえた。
諸橋が子供移民で、 渡辺が二世であることも付け加えた。渡辺は日本語とブラジル語に堪能だから、 主にブラジルの各紙から必要なところを抜いて、 翻訳する仕事をしているのだと言った。
女性だったことが判明して、 わっ、 と歓声を上げたい気持ちを抑えきれなかったのだろう、 漢方 せいよくp 部屋中がざわめいた。
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柳子が一人一人に握手を求めてゆくと、 一人ひとりの握力に違いがあるのがわかって、 漢方 媚薬 それが一人ひとりの性格として伝わってくるのが、 おもしろいと柳子は思った。
「安田さんですねぇ。はじめまして、 わたしは内藤柳子です。どうぞよろしくお願いします」
すでにみんなが知っていることなのに、 柳子が丁寧に繰り返して自己紹介すると、 男たちもそうしなければならないように思って、 各自が自己紹介をした。
「あのう、 内藤柳子さんは間違いなく女性の方ですよね」
三木が、 わかりきったことに念を押したから、 ほかのものが、 漢方 発毛薬 わっ、 と笑い出す。
三木は三十歳になっていて、 既婚者である落ち着きを見せていたが、 そんなことを言うところに、 どこかしら世間ずれしていない純朴さがあった。
「はい、 いちおうそういうことになっていますけどぉ、 わたしはオトコオンナなんですぅ。中性ですからぁ、 男女の別は気にしないでくださいぃ」
柳子の物怖じしない応対に、 場の堅苦しさが一度になくなった。
うわあ、 やられたあ、 と言ったのは三木ひとりではなかった。みんなが声を合わせて言ったのだ。
「勝負は引き分けだよ」
そう言ったのも、 賭けに敗けた三木だった。
「ずるいよ、 三木さん」
渡辺が抗議する。
「でもこの人」
「わたしの名は、 漢方jp超能持久 この人じゃなく、 内藤柳子なんですけどぉ」
「あ、 すみません。内藤さんがみずから、 中性だと言ったんだから」
「でも名前は女性だよ」
言い合うふたりのあいだに分け入って、 柳子が、
「名前は出生届をするときに中性と書けないからぁ、 女性名にしたらしいんですけどぉ、 躰も性質もあきらかに中性なんですぅ」
「ええっ、 ほんとうですかあ」
「ここで服を脱ぐわけにはいきませんけどぉ、 間違いなく中性ですぅ。本人が保障しますぅ」
「でも、 まさか、 両性具有ということではないですよね」
渡辺が、 遠慮しいしい、 遠慮なく訊く。
「うん、 まあ、 それはいまのところ秘密ということにしておきますぅ」
そう言いながら、 柳子は、 両性具有ではないけれど、 クリトリスが日本人女性の平均よりも長いから、 感じやすいんだ。ガイジンの女には、 男のペニスのように長いものも居るよ、 と敬一が言ったことを思い出していた。
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