2011年12月7日星期三

漢方薬 それに加えて自然

「川端康成とか谷崎潤一郎とか堀辰雄とか」
柳子がみなまで言いおわらないうちに、
「うわあ、 読みたい」
大野が、 狂おしいような声で言い、 大きな躰を女が悶えるような恰好をして言ったから、
「それこそ軟弱な態度じゃないか」
と佐藤が、 からかったとは思えない、 尖った視線を向ける。
この人は日本精神の先鋭分子みたいだ、 と柳子は肇を視る。
球子と典子が同時に肇のほうを視た瞳が潤んでいた。
球子には良雄という許婚がいて、 典子には圭介という恋人がいるらしいのだけれど、 なんだか肇の男性的なところに、 強壮剤 二人の女性は憧れを持っているみたいに視えるなあ、 と柳子は惟う。
「すごいですね、 わたしら、 親に隠れて読まんとならんとですけど」
林典子も、 胸をわくわくさせているのがわかった。
「じゃぁ、 こんどの集会のとき持ってきます」
「そんなことしてもらえませんよ、 重い本をどうして運ぶんですか。ぼくのところにトラックがありますから」
大野が冗談ではなさそうに言ったから、 それがかえっておかしくて、 皆が笑い出す。
「それじゃ、 こんどの日曜日は、 皆でいっしょに内藤さんのところにお邪魔して、 手分けして本を運んで、 ささやかな図書館開きをしようよ」
佐藤が提案すると、 おうっ、 というような歓声が揚がって、 衆議一決する。
全員の顏が、 ぱっと明るみ、 それで部屋の空気がいっそう華やいで、 柳子の仲間入りが輝いたものになったばかりではなく、 最年少の柳子が、 この会合の重要な位置を占めることになる。
柳子が最初この部屋に入ってきたときに、 「馬上ゆたかな美少年」と井上清次が言い、 そこにスポットが当たったように明るんだのだけれど、 わずかな時間で鮮烈な輝きを放って注目の的になるのは、 少年のような清々しさと、 物言いの歯切れのよさと、 持って産まれた物怖じしない率直さと、 漢方薬 それに加えて自然に備わった社交性のせいだっただろう。
「こちらからお願いしていいですかぁ」
すべすべした頬をやや紅潮させて、 柳子が言う。
「どうぞ、 自由に発言してください」
鈴木一誠が促す。
「わたしを、 ガリ版截る係に加えていただけますかぁ」
「おっ、 経験あるんですか」
大野良雄の眸に光が点る。
「いえ、 経験というほどのものじゃないですけど、 わたしの叔母がガリ版截っていたのを傍から見習っていましたし、 少し手ほどきも受けましたし、 わたし、 それにすごく興味持っていますから」
「いいですね、 好きこそ物の上手なれといいますから」
鈴木が言って、
「決定」
と佐藤が独断的に決断を下したが、 もちろん異議を挟むものなどいるはずはない。
「わたし、 近未来にジャーナリストになるという展望を持ってるんです」
柳子が、 とつぜん難解な語句を使用して言ったから、 全員が聴き慣れないことばに、 いっしゅん唖然とする。
彼らが日常的に話し合われる会話のなかに、 誰一人として使用したことのなかった「近未来」だとか「展望」だとか、 「ジャーナリストになる」という希望そのものが念頭にないことだったから、 媚薬 容易には言葉の意味が、 脳漿のなかに溶解できなかったのだろう。
「ほう、 精力増強剤 内藤さんが新聞記者にねえ」

没有评论:

发表评论