柳子はいま安西に接して、 父娘のあいだに感じてきたような、 意識的ではない信頼感を覚えるのが、 ふしぎだった。
柳子を引き取ることを、 千田には渋りながら、 川俣に対しては、 ずっと以前からそれを考えていたような断乎とした言い方で、 雇い入れることを宣言したのを聴いて、 柳子は、 普段は突っぱねるようにしながら、 いよいよというところに来ると庇ってくれる父親のような人だ、 早漏用コンドーム と惟ったのだ。
同じように力になってくれた千田も、 石上長太郎から頼まれただけで、 ほとんど行きずりの人でしかない柳子を、 曲美(きょくび 積極的に売り込んでくれた親切はあったのだが、 千田に対しては、 これこそ「恩義」というものだと感じながらも、 信頼感というようなものは、 まったく感じなかったのだが、 安西には、 どうしてなのか、 全身を傾けて行っても肩透かしを食わないだろうと思うような信頼感を持った。
そんなことを柳子が感覚するのは、 極品狼1号 輝社を頼って行って、 なんとなく男三人から煙たがられて石上長太郎に渡され、 石上長太郎は、 柳子にそっと心情を打ち明けながら、 妻の嫉妬に抗しきれず、 千田武志のところに厄介者払いをしたのだ。そして千田は、 私的な感情を抜きにできる素早さで、 安西のほうに橋渡ししたのだから、 彼らへ残す恩義は薄かったのに、 「ぼくの秘書として使いますから」という断固とした宣言には、 時間的な推移などまったく関係なく、 どっしりとした重みがあって、 それが信頼感になったのに違いなかった。
千田は、 その石上から預かったものを、 預かったものへの憐憫とかなどではなく、 預けたものへの義理からだろう、 安西に振り向ければ自分自身の責任は果たせるという感じで、 口から出任せのことを言って、 安西に押し付けた、 という感じが勁かったから、 親切は親切として恩に着てはいても、 殺精子作用による避妊 全身を委ねてしまえる信頼感が生まれるはずはなかったのだ。
彼がいくら豪傑笑いをしても、 それは上辺の見せかけで、 安西から受ける人間的な深さや重さを感じなかったのだから。
「じゃあ、 安西くん、 預けたよ、 あとはきみが煮て食おうが焼いて食おうが、 俺は文句を言わないから」
と安西には言いながら、 柳子のほうには、
「ああ、 内藤さん、 安西はまだ独身だから、 用心はしたほうがいいねえ。こんな爺さんの秘書はいいけど、 秘儀に溺れちゃあ、 あんたの人生も乾涸びるから」
と辛辣に言う。
没有评论:
发表评论