「泥亀はひどいよ」
井上清次が抗議をしても、 暖簾に腕押しでぜんぜん効果はなかった。
「ほかにどんな形容の仕方があると思う。ないと思うけど」
大柄な青年が嘯く。
「そうかなあ。まあそうかも知れんけど」
などと井上清次は、 膨れっ面もしないで、 揶揄されているのを肯定するように言って、 頭を左右に傾けている。
そんな軽薄そうに視える彼が、 ほかのものから軽く観られているのがわかる。
しかし、 嫌味のない剽軽もので、 避妊用膣薬 重宝がられているらしいこともわかる。小森のおじさんを日干しにして、 醤油で煮しめたような感じの人だ、 と柳子は心のなかでからかう。
さきほど井上を「泥亀」だと、 ひどい表現をした大柄な青年が、 あらたまった口調になって、
「ええ、 ぼくは大野良雄です。二十四歳。会誌の印刷屋さんを承っております」
と大柄な体格に似合った太い声で言う。
「もう歳を言って売り込まないでもいいでしょう。決まってるのだもの」
なんとかして、 さきほどの仇を討ちたいのか、 井上清次が混ぜ返すと、 大野良雄の横に座っている小柄で色の黒い女性が品を作ったから、 ああ、 この人と大野さんが決まっているんだな、 と柳子にわかる。
「ぼくはですね、 内藤さん、 詩を書くのが好きなんですよ。そういうふうには見えないでしょうけど」
大野良雄は、 みずからを主張したり否定したりしたが、 詩と大野とがぴったり結びつかないイメージなのは、 彼が言う通りだった。
「そんなに売り込んだら、 球ちゃんが嫉妬しますよ」
執拗に井上清次が、 大野良雄を揺さぶる。
「井上さん、 変なこと言わないでよ」
抗議をしたのは、 大野の横の小柄で顔色の黒い女性だった。
「そうですかあ、 詩を書かれるんですかぁ。わたしも書くんです。ここの会誌で発表しているんですかぁ」
柳子は、 横からの雑音を無視して言う。
「いや、 発表はせんです。発表するようなものがなかなか作れんですから」
「どんなもの書いておられるのか、 いちど読ませていただけますかぁ」
「ああ、 いいですよ、 読んでください」
そう言う大野良雄の脇腹を、 避妊薬ピル 商品 横の女性がつついたのを、 韓国 痩身 漢方 柳子は見た。なるほど井上の言うとおり嫉妬している、 球ちゃんという女性は嫉妬深いのだ、 と柳子は気づいて、 韓国終極 記憶の抽き出しに入れた。
「じゃあ、 球ちゃん」
大野良雄が、 柳子との話を中断して、 隣にバトンを渡した。
「わたし、 花城球子です。大野さんと印刷受け持ってます」
柳子がこの部屋に入ってきたときのおどけたような言い方ではなく、 ちょっとつんとした感じで言う。眼は人懐こい、 くりくりした感じだったから、 柳子に向かって怒っているのではないことがわかる。見栄を張っているのだ。
「ご出身地をどうぞ」
また井上清次が口を入れる。
「沖縄です。お婆ちゃんがですよ。沖縄の首里というところです。わたしの出身地はサントスですけど」
花城球子は、 素直に出身地を言う。
その素直さが、 柳子に好感を抱かせる。
沖縄の人だというのは、 紹介されなくてもわかる。なにしろブラジルの黒人と並べても遜色のない膚の黒さだったからだろう、 歯の白さが際立っていて、 花城球子の心の白さを見せているようだった。そして、 日本語の発音にどこの訛りも感じさせなかったから、 快く柳子の耳に届いた。
「じゃあ、 つぎは田所さん」
球子がつぎに顔を振りながら言うと、 いままでいちども発言したことのない青年が立って、 柳子のほうに頭を下げてから、 ゆっくりと言う。声が低くて耳を澄まさなければならないほどだった。
「ぼく、 田所圭介です。ぼくも二世ですから出身地はブラジルですけど、 両親と叔父の家族は福岡です。ガリ版切ってます」
そう言って、 すうっと静かに座ってしまう。その様子が年令に不相応なほど恥ずかしそうに見えた。
「田所くんは二世だけど、 非常に勉強家で、 このなかではいちばんよく漢字を知っているんでね、 校正係を兼任してもらっています」
鈴木一誠が補足する。
「鈴木さんには及びません」
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