2011年12月7日星期三

興奮剤 「大野さんが詩を作っておられる

佐藤肇が深く感じ入った様子で言って、 しばらく口を開けたままにしていたが、 わざとらしく大きく瞬きをしたあと、
「光ってるねえ、 中華 この人。眩しいくらい後光がさしてねえ。見ろよ、 金の星だよ内藤さんは」
と大げさに言う。
林典子の顏に、 すっと嫉ましさが刷いて通ったのを気づいたものはいなかったが。
「そういうことだと、 ガリ版切るだけじゃなくて、 割り付けとか、 そういうことも手伝ってもらうのはもちろんだけど、 大いに記事を書いてもらったらどうかなあ」
佐藤肇がいちばん多く発言して、 たいていはそれが決定事項として通るような会議の雰囲気だった。
「記事はぼくと大野くんの二人で書いてるんですが、 会誌づくりには四苦八苦していたところなんですよ」
鈴木一誠が、 頼もしそうに柳子を見て、 彼自身の顔色を明るくさせた。
「そう、 ガリ版切りで田所くんが助かって、 記事でぼくらが助かって、 内藤さんは頼もしい助っ人ですよ」
大野良雄がそう言ったときには、 花城球子の表情に変化があった。
実際のところ、 いままでは会誌といっても、 日本人会の回覧板のようなかたちでしかなかったのだ。
佐藤と井上が取材してきたものとか、 日本人会の通達事項とかを、 鈴木と大野が文章にして、 編集をして、 田所がガリ版を截り、 漢方 大野と花城が主体になって印刷をしたものを、 勃起促進剤 全員で製本してきたのだった。
「これですよ、 内藤さん、 こんな程度のものしかできていないのでね」
鈴木一誠がテーブルの上に置いてあった会誌を、 柳子のほうに渡したものは、 視るからに貧弱な体裁のものだったし、 内容も文芸的な潤いのあるものではなかった。
アラモ町の青年会全体では、 会誌をつくるこのグループだけが知識層で、 おとなたちでも総ルビ入りの雑誌を拾い読みする程度のものが多かった。
女子部でも、 お茶やお花の講習会よりも実質的な料理の講習会のほうに、 大ぜいの娘が集まったし、 青年たちの気風としては、 剣道や柔道の剛健さを尊ばれ、 詩や小説を書くなどというと、 軟弱なものとして異端視される傾向にあった。
農作業と家事とで疲れるのは、 躰だけではなく、 頭脳もいっしょに散漫になったから、 考えを纏め、 それを文章にするという芸当などは思いもよらないことだった。
柳子は、 日本人社会がそういう環境なのだということは知らなかったし、 たとえ知っていたとしても同じことを言っただろう。
すでに発行されている薄っぺらな会誌をぺらぺらと繰ったあと、 柳子が顔を上げて、 鈴木のほうにまっすぐ視線を伸ばし、 興奮剤
「大野さんが詩を作っておられるというし、 林さんが小説を書いておられるというのに、 どうしてそれを掲載しないんですかぁ。わたしもいままでに作った詩や童話がありますから、 そんなものを一つふたつ載せると、 すごく会誌の内容に潤いが出ると思うんですが」
と率直に発言すると、 全員があやふやな表情をした。
柳子は腑に落ちなかった。しかし、 すぐに思い返す。こんなことは若いわたしが今ごろ言わなくても、 鈴木さんや大野さんや田所さんという、 理知的な顔をした青年たちにわからないはずはないだろう、 と。
「すみません。余計なこと言ってぇ」

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